【研究解説】HIITで筋力と男性ホルモンがアップ!60代アスリートから学ぶ秘訣

「最近、体のキレがなくなった気がする」「昔みたいに動けない」──40代・50代の男性なら、こんな感覚を覚えたことはありませんか?
実はこれは、筋パワー(瞬発的な力)や男性ホルモン(テストステロン)が年齢とともに低下しているサインです。
ところが、ある研究で“短時間の高強度インターバルトレーニング(HIIT)”を行うと、60代のベテランアスリートでも筋力と男性ホルモンが改善したことが報告されました。
一体どんな方法で効果が出たのか─この記事では運動初心者でも実践できる方法をわかりやすく解説していきます。
HIITって何?

HIIT(ヒート / ヒット)とは「High Intensity Interval Training=高強度インターバルトレーニング」の略。
短い時間だけ全力で動いて、そのあと休む。これを繰り返すトレーニング法です。
例えば、自転車で30秒全力ダッシュ→3分ゆっくり漕ぐを6回繰り返すだけ。合計わずか20分ほどで終わります。
「えっ、たった30秒?これならオレでもできそうっす!」

「そう、短いけれどしっかり負荷がかかるのよ。『短く・強く・休みを長く』がポイントね」

HIITで男性ホルモンアップ!?どんな研究?

この研究では、60歳前後のベテラン男性アスリート17人を対象にしました。彼らは水泳や自転車、ランニングなどを30年以上続けてきた人たちです。
- 期間:6週間
- 頻度:5日に1回、合計9回のHIIT
- 内容:自転車を使い「30秒全力で漕ぐ → 3分休憩」を6セット
- 調べたこと:筋肉の瞬発力(ピークパワー)、男性ホルモン(テストステロン)、ストレスホルモン(コルチゾール)など
「つまり、1回の運動は20分ちょっと。それを5日に1回やっただけで6週間後にどう変わったか?という研究だな」

HIITの結果はどうなった?


引用:Herbert P, Hayes LD, Sculthorpe NF, Grace FM. HIIT produces increases in muscle power and free testosterone in male masters athletes. Endocr Connect. 2017 Oct;6(7):430-436. doi: 10.1530/EC-17-0159. PMID: 28794164; PMCID: PMC5551442.
- 筋パワー:有意にアップ!(全力の瞬発力が 799→865Wに上昇)
- 遊離テストステロン:少し上昇(男性ホルモンの中でも体に使える分が増えた)
- コルチゾール:ストレスホルモンは増加。ただし筋パワーは下がらず、むしろ改善。
総合すると、「5日に1回の短時間HIITでも、60代で筋力は上がり、ホルモン環境も改善する」という結果でした。
なぜ男性ホルモンや筋パワーが上がった?

HIIT(高強度インターバルトレーニング)は、短時間でも体に強い刺激を与え、瞬発力を高めます。
さらに「5日に1回」という間隔を空けることでしっかり回復でき、運動量が少なくても効率よく力を伸ばせたのです。
全力で動くと一時的に男性ホルモンが増えます。これを休養をはさみながら繰り返すことで、体内で実際に働くホルモン(遊離テストステロン)が少しずつ底上げされていきます。
年齢を重ねると、長時間の運動では疲労が抜けにくく、逆効果になることもあります。だからこそ「短く・強く・しっかり休む」スタイルが、筋肉に若返りのスイッチを入れる鍵になるのです。
「なるほど…“ガッツリやるより、たまに強い刺激”って感じっすね!」

「中年以降は“休む勇気”がトレーニング効果を引き出すのね」

運動初心者が日常に【HIIT】を取り入れる方法

①自転車 or ランニング
- 自転車やランニングで30秒全力+3分休憩を6回(計20分)。
- 5日に1回でOK。週1〜2回でも十分。
- 休養と睡眠を最優先にする。栄養、特にタンパク質を意識。
- 体調が悪い時は無理せずスキップ。
「毎日やる必要はない。むしろ週1〜2回でいいんだ。これなら忙しい中年男でも続けられるだろ?」

②ウォーキングHIIT
「自転車もジムもない」「体力に自信がない」という方でも大丈夫。
HIITは歩くだけでも応用できます。
- 30秒:速歩き(息が少し弾むくらい)
- 3分:ゆっくり歩く
- これを6回繰り返す(合計約20分)
最初は「ちょっと早歩き」くらいでOK。
慣れてきたら、坂道や階段を使って負荷を上げても効果的です。

- 必ずウォームアップ(5分のんびり歩く)から始める
- 終了後はクールダウン(5分ゆっくり歩く)を忘れずに
- 水分補給はこまめに
- 「今日はしんどいな」と感じたら休む勇気を持つ
この「ウォーキングHIIT」は、特に運動が苦手な方の最初の一歩におすすめです。
少しずつ体力がついてきたら、自転車や軽い筋トレと組み合わせても良いでしょう。
「えっ、歩くだけでいいんすか!?これならオレでも毎日やれるっす!」

「毎日は逆効果。5日に1回くらいで十分よ。」

「そうだ!“たまに強い刺激”で十分。疲れを残さないことが一番大事なんだ」

男性更年期に有効な有酸素についてはこちらでも解説していますよ♡



安全にウォーキングHIITを行うための注意点

この研究の対象者はすでに長年スポーツをしてきたアスリートです。
運動習慣がまったくない人は、まずウォーキングや軽い筋トレから始めるのがおすすめです。
また、持病がある方は必ず医師に相談してから取り入れましょう。
胸痛/強い息切れ/めまい・ふらつき/冷や汗/脈が乱れる感じがあれば即中止してください。
まとめ

- 「5日に1回・30秒×6本のHIIT」を6週間続けると筋パワーと遊離テストステロンが上昇
- 休養も大切に:「短時間・高強度・低頻度」で、回復を優先する
- 初心者は歩くだけでもOK:「速歩き30秒+ゆっくり3分×6回」のウォーキングHIITから始められる
- 安全第一:体調が悪い日は無理をせず、持病がある人は必ず医師に相談
40〜60代の一般男性にとっても、“毎日頑張らなくてもいい”というのは続けやすいヒントになる。

つまり──「長くダラダラより、短くキュッと」が中年からの再起動トレーニングの秘訣です♡







参考リンク
この記事の参考リンクはコチラ
HIIT produces increases in muscle power and free testosterone in male masters athletes(Endocrine Connections, 2017)
https://journal.cumbria.ac.uk/index.php/APass/article/view/442/0
ACSM|High-Intensity Interval Training(HIIT)の基礎と実践ポイント
https://acsm.org/high-intensity-interval-training-hiit/
PubMed|The factors affecting adherence to a long-term interval walking training program
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25539937/