放置厳禁!いびきと睡眠時無呼吸の早期発見と対策


「毎晩いびきをかいている」「朝起きても疲れが取れない」「日中の強い眠気で集中できない」──もしあなたや家族にこんな症状があるなら、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかもしれません。
定義により幅がありますが、日本の成人男性の約20%がSASの中等症以上とする報告もあります。未治療の場合、高血圧・脳卒中・心筋梗塞など命に関わる疾患リスクが高まります。にもかかわらず、多くの人が「ただのいびき」と見過ごしてしまうのが現状です。
この記事では、医療機関に行くべきかどうかのセルフチェック方法をご紹介します。
質の良い睡眠も「無呼吸」で台無し!?
「せっかく早寝したり、運動や食事にも気をつけてても…寝てる間に“無呼吸”になってたら、その努力、全部台無しだぞ!」

「えっ…じゃあオレ、最近いい睡眠を取るためにウォーキングも生活改善もしてるのに、もしかしてムダってことっすか!?」

「可能性はあるわね。いびきや無呼吸は、健康習慣の効果をまるごと削ってしまうかもしれないわよ。」

「だからこそ、“寝てる間の自分”もチェックすることが大事なんだ!詳しくみていこう!」

結論:セルフチェック+早期受診が最善の対策
いびきや無呼吸は、自己判断で放置するのではなく、睡眠・いびきアプリなどで、まずは簡単なチェックから始めましょう。
その上で、「週に3回以上の無呼吸」や「日中の強い眠気」があれば、迷わず耳鼻咽喉科や睡眠専門医を受診してください。
放置期間が長いほど合併症リスクは高まり、治療にも時間がかかります。
「日中の眠気を簡単にチェックできる“エプワース眠気尺度(ESS)”のオリジナル版を作ってみました。簡単に答えられるので、ぜひ一度試してみてください。思った以上に眠気が強いことに気づくかもしれませんよ。」

なぜ放置は危険なのか
睡眠時無呼吸(SAS)を放置すると、寝ている間に血中酸素が下がり、全身に“じわじわダメージ”がたまります。
米国睡眠医学会の報告では、未治療のSASは心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが健常者の2〜3倍、日本のデータでは、SAS患者の約70%が高血圧を合併(日本睡眠学会の調査)するとあります。
夜間の酸素不足は成長ホルモンやテストステロンの分泌も邪魔します。結果として疲労・集中力低下・男性更年期症状の悪化に直結する危険性も。
「いびき=ただの疲れ」ではありません。心臓・血管・代謝・ホルモン・脳へ広く影響します。
放置で起こりやすい“具体的な不具合”
いびきや無呼吸を放置すると、体のあちこちに不具合が出てきます。
たとえば、血圧や心臓・脳の病気リスクは2〜3倍に跳ね上がり、不整脈や心不全まで引き起こす可能性があります。
代謝も乱れやすくなり、血糖や脂質のコントロールが悪化して「痩せにくい体」に。
さらに、脳への酸素不足は記憶力や集中力を低下させ、抑うつや不安感を強め、居眠り運転など重大な事故の原因にもなります。
男性の場合はホルモン分泌にも影響が及び、テストステロンの低下によって元気や性機能、意欲の低下といった“男性更年期”の症状が悪化します。
そして何より、睡眠そのものが浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒、「寝たのに疲れが取れない」という典型的な不調を招くのです。
よくある誤解
睡眠時無呼吸は「太った人の病気」と思われがちですが、実際には痩せている人でも首まわりの骨格や鼻・喉の形によって十分に起こります。
また「週末だけ大きないびきをかく」という人も要注意です。飲酒や寝不足、仰向け寝などが一時的に症状を悪化させているに過ぎないと思っていても、その繰り返しが“慢性化の種”となるのです。
さらに「いびきは元気な証拠」という昔ながらの考え方も誤解のひとつ。
大きないびきのあとに突然「シーン」と無音になるのは、実は呼吸が止まっているサインであり、もっとも見逃してはいけない危険信号なのです。
『ただのいびき』と片づけるのは危険だぞ。誤解に気づけた今が、健康を守る第一歩なんだ!」

「ここまで聞くと“もしかして自分も?”って不安になる方、多いと思います。でも大丈夫です。
次にお話しする“セルフチェック法”を使えば、ご自分やご家族の状態を簡単に確認できます。今のうちにサクッと試してみましょう。」

セルフチェック方法
「ここからは“家でできるチェック”です。1つでも当てはまれば要注意、2つ以上なら医療機関の相談を検討…この基準で見ていきましょう。」

1)「寝ている間に息が止まっている」と言われたことがある
家族や同居人が10秒以上の無呼吸を何度も見ている、あるいは「ゴッ」とむせて再開する呼吸が繰り返されるなら、睡眠時無呼吸の典型サインです。
本人は自覚しにくいので、3夜だけでいいので観察を依頼してください。
難しければ、いびきの録音アプリ(例:いびきラボ(SnoreLab / Sleep Cycle / Sleep Meister)で「大きないびき→無音→再開」のパターンがないかを確認します。
この所見がある時点で受診優先度は高め。医療機関の受診を検討しましょう。
自分でいびきや無呼吸をチェックするアプリやデバイスもあるぞ!活用してみてくれ!

おすすめ睡眠アプリ
- SnoreLab(公式サイト)
- いびきを録音・スコアして対策に活かせる定番アプリ。
- Sleep Cycle(公式サイト)
- 睡眠ステージ分析とスマートアラームでスッキリ起きたい人に。
- Sleep Meister(App Storeページ)
- 軽快な目覚めと記録機能が特徴。
※すべて公式ページのリンクです。
2)毎晩、大きないびきをかく
週3日以上、扉越し・隣室でも聞こえるようないびきは、気道の狭さを示すサイン。仰向け・飲酒後・疲労時で悪化しやすいのも特徴です。
録音アプリで「いびきスコア」を3夜連続で記録し、体位(仰向け/横向き)や飲酒の有無もメモに残しましょう。
3)朝起きても疲れが取れない
十分な睡眠時間のはずなのに「だるい」「頭が重い」「口が渇く」「朝から血圧が高め」…これは夜間の断続的な低酸素や睡眠分断の影響で起きがちです。
起床直後の体調メモ(頭痛・口渇・だるさ など)を3日分残すと、日中の不調とつながって見えてきます。
4)日中、強い眠気で仕事や運転に支障がある
居眠り運転や作業ミスにつながる病的な眠気は赤信号です。
エプワース眠気尺度(ESS)を使うと2分で自己判定できます。合計11点以上は「眠気が強い」目安。
エプワース眠気尺度(ESS)は当ブログオリジナル版も試してみてくれ!

5)夜中に何度も目が覚める
中途覚醒が2回以上、トイレ覚醒が続く、息苦しさで目が覚める──これらは無呼吸で睡眠が細切れになっているサイン。
就寝〜起床までの覚醒回数と起きた時刻を3夜だけ記録しましょう。起きた直後の動悸や口渇があれば併記を。
「寝る前の飲酒」「仰向け固定」「遅い重い夕食」は中途覚醒を悪化させます。生活調整を試しつつ、続くなら検査で確認を。


セルフチェックの3夜セットで実際にチェックしてみよう
「セルフチェックは“3夜セット”で試すのがおすすめです。
録音アプリでいびきを記録して、ESSで眠気を数値化、そしてデバイスで睡眠状態をチェック。たった3日続けるだけで、自分の眠りのクセがぐっと見えてきますよ。」

【セルフチェック“3夜セット”】
① アプリで録音(3夜分)
SnoreLabやSleep Cycleなどのアプリを使って3日間の睡眠を録音します。大きないびきの音量や、途中で「無音」になっている時間があるかをチェック。あわせて、寝る姿勢や飲酒の有無もメモしておきましょう。
② 日中の眠気テスト(2分)
エプワース眠気尺度(ESS)を使えば2分で完了。点数が11点以上なら、日中の眠気が強いサインです。まずは下記の眠気セルフチェック(当ブログオリジナル版)をお試しください。
③ デバイスで客観的に測定
スマートウォッチや睡眠トラッカーを活用すると、夜間の心拍数、酸素飽和度(SpO₂)、覚醒回数などを自動で記録してくれます。朝起きたらアプリ画面を確認し、「息苦しそうな時間帯」や「酸素低下のサイン」がないかチェックしてみましょう。

眠気セルフチェック(当ブログオリジナル版)
このチェックは Epworth Sleepiness Scale(ESS) の考え方を参考に、当サイトが独自に表現・構成したものです。
医療的診断ではありません。結果が気になる場合は医療機関へご相談ください。
参考文献:Johns MW. Sleep. 1991;14(6):540–545。
プライバシー:このフォームはページ内でのみ計算します。入力内容が外部に送信されることはありません。
「この“3夜セット”があると、受診時に話が早いです。医師側も重症度や検査の優先度を判断しやすくなります。」

「俺もまずは3夜の“証拠集め”から始めた。見える化すると一歩が軽い。

睡眠中の無呼吸・窒息感・激しいいびきが“しばしば”あり、日中の強い眠気(ESS≥11)を伴う場合は、耳鼻咽喉科や睡眠専門医での評価が推奨されています。
今日からできる!無呼吸対策の3ステップ
ここまでのセルフチェックで「もしかして自分も睡眠時無呼吸かも…?」と感じた方もいるでしょう。
けれど心配しすぎなくても大丈夫です。今日から取り組める3つのステップで、眠りの質を整えていくことができます。
無呼吸対策を少しずつ始めて、元気な毎日を取り戻しましょう。
ステップ1:可視化する
- 同居人がいれば、無呼吸“っぽい無音”+再開時の大いびきがないか観察を頼む。
- 一人暮らしなら、録音系アプリで“音の荒さ・無音の挟まり”をチェック(診断ではありません。受診のきっかけに)。
ステップ2:いびき・無呼吸の“悪化因子排除”
- 就寝3〜4時間前から飲酒を控える(寝酒は無呼吸を悪化)。
- 横向き寝+抱き枕を試す(舌根の落ち込み予防)。
- 鼻の通りを確保(加湿・鼻うがい/アレルギーは耳鼻科相談)。
- 枕の高さを見直す(首が反らない・あごが上がらない)。
- 体重対策(すぐは無理でも、1〜2kg落とすだけで気道が楽になる人も)。
ステップ3:受診先を決める
- 入口は睡眠外来/耳鼻咽喉科/呼吸器内科が無難。
- 「夜間の呼吸停止を家族に指摘」「日中の強い眠気」はそのまま伝えると検査につながりやすい。
- ※来院前に睡眠時無呼吸の検査ができるかお問い合わせください。
「まず“今夜からできること”で十分いい。横向き+飲酒オフ、これだけでも体感は変わるぞ。」

なるほどっす…! じゃあ今夜から横向き&ノンアルでやってみます!」

体験談:私が受診を決めたきっかけ
30代前半の頃、私(=筆者)は家族から「いびきがうるさい」と何度も注意されていました。正直、「疲れているだけだろう」と軽く考えて放置していたのです。
ところがある日、運転中に強烈な眠気に襲われ、ヒヤリとする瞬間がありました。今思えば、あのとき事故を起こしていてもおかしくなかったかもしれません。
不安になった私は、家族の勧めで睡眠専門外来を受診。検査の結果、軽度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されました。
すぐにCPAP治療を始めるのではなく、生活習慣を整えたり寝具を工夫したりすることから取り組んだ結果、朝の目覚めがスッキリし、日中の集中力も戻ってきました。
大きな事故には繋がりませんでしたが、「もっと早く受診していれば…」という思いが今も残っています。
もしあなたも「いびき」や「日中の眠気」に心当たりがあるなら、同じように受診を検討してほしいと思います。私のように“後悔する前”に、一歩踏み出すことを強くおすすめします。
まとめ 今日の小さな一歩が、未来の大きな差になる
- いびき・無呼吸は放置厳禁。睡眠の質低下だけでなく、心血管リスクや代謝悪化にも直結。
- まずはセルフチェック(録音アプリ・日中の眠気)+家族からの観察で現状把握。
- 大きないびきが止まる/強い眠気が続くなら、早めに医療機関で検査・治療を。
- 生活改善(体重・寝姿勢・飲酒/喫煙・鼻のケア・就寝前ルーティン)で症状は軽減しやすい。
- 今日の小さな行動が、明日の目覚めとパフォーマンスを変える。
今日のアクション(3つのチェック)
- 今夜:スマホ録音で“自分のいびき”を一晩チェック。
- 明朝:眠気セルフチェック(当ブログオリジナル版)などで日中の眠気チェック
- 今週:横向き寝 or 枕高さ見直し+寝る前の飲酒ストップ。
「所長、いびきをナメてました…。今夜から録音してみます。」

「いい判断ね。放置より“まず知る”。それが最短の近道よ。」

「よし、俺も枕を見直す! 明日の元気は今夜の一手で決まるぞ。」

※ 録音アプリは目安であり診断ではありません。
「いびきが急に止まる」「日中の強い眠気・居眠りが続く」などのサインがあれば、睡眠外来・耳鼻咽喉科・呼吸器内科へご相談ください。
参考リンク
• Diagnostic Testing for OSA in Adults(AASMガイドライン, 2017)
https://aasm.org/resources/clinicalguidelines/diagnostic-testing-osa.pdf
• Clinical Use of a Home Sleep Apnea Test(AASMポジション, 2025更新ページ)
https://aasm.org/advocacy/position-statements/clinical-use-of-a-home-sleep-apnea-test-an-updated-american-academy-of-sleep-medicine-position-statement/
• Consumer Sleep Technology: AASM Position Statement(診断・治療に用いない)
https://aasm.org/advocacy/position-statements/consumer-sleep-technology/
• 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020(日本呼吸器学会)
https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf
• I-05 睡眠時無呼吸症候群|市民の皆さまへ(日本呼吸器学会:診断基準と重症度)
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-05.html
• Obstructive Sleep Apnea and Cardiovascular Disease(AHA Scientific Statement, 2021)
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000000988
• Long-term cardiovascular outcomes in men with OSA(Lancet 2005:未治療重症でCVDリスク↑)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15781100/
• Obstructive sleep apnea and risk of stroke or death(NEJM 2005)
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa043104
• Prevalence of OSA in the general population(Sleep 2017:9–38%の系統的レビュー)
https://academic.oup.com/sleep/article/40/1/zsw015/2662659
• Estimation of the global prevalence and burden of OSA(Lancet Respir Med 2019)
https://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(19)30198-5/fulltext
• Epworth Sleepiness Scale|About the ESS(公式:カットオフと利用案内)
https://epworthsleepinessscale.com/about-the-ess/
• Epworth Sleepiness Scale(Cleveland Clinic:解釈)
https://my.clevelandclinic.org/health/diagnostics/epworth-sleepiness-scale-ess
• STOP-Bang Questionnaire(公式サイト:一次スクリーニングに有用)
http://www.stopbang.ca/osa/screening.php
• CPAP reduces motor vehicle crash risk(系統的レビュー/メタ解析)
https://www.researchgate.net/publication/47728322_Continuous_Positive_Airway_Pressure_Reduces_Risk_of_Motor_Vehicle_Crash_among_Drivers_with_Obstructive_Sleep_Apnea_Systematic_Review_and_Meta-analysis
• Association between OSA and lower testosterone in men(Andrology 2022 メタ解析)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/andr.13111