【衝撃】筋トレでテストステロンが増えるのは嘘!?「テストステロン値」が上がらない人の特徴
「最近どうも活力が湧かない」
「若い頃より明らかに疲れやすく、太りやすくなった」
そう感じている40代以降の男性は多いでしょう。
テストステロンを増やすために、とりあえず筋トレやランニングを始めてみたものの、「本当にこれで効果が出ているのか?」と不安になっていませんか。
巷に溢れる曖昧な情報に振り回されるのは、もう終わりにしましょう。
この記事は、2020年にテキサス大学医学部の研究者らが発表した科学的エビデンス(論文)に基づいています。
男性更年期を科学的に克服した筆者が、その核心を徹底的に解説します。
先に結論からお伝えします。
本論文によれば、
運動で「基礎テストステロン値」が上がるのは、「肥満傾向の人」や「運動不足の高齢者」が運動を始めた場合です。
すでに運動習慣のある人が筋トレをしても、基礎値は上がりません。
しかし、落ち込む必要はありません。筋トレには、テストステロンを「一時的に急上昇させる(急性ブースト)」効果があり、
そのブーストを最大化する「明確な公式」が存在するのです。
運動直後の「テストステロンブースト」を最大化する筋トレの公式
結論:筋トレの「急性反応」を最大化する条件は「高強度×高容量×短インターバル」である
筋トレによるテストステロンの一時的な上昇(急性反応)は、残念ながら「一時的な花火」のようなものと言われています。
高強度の運動後、テストステロン濃度は急速に平常値(ベースライン)に戻ってしまうことが、多くの研究で示されているのです。
しかし、それは運動のやり方次第で大きく変わります。
この論文が示す結論は明確です。
テストステロン反応を最大化する公式は、
「中~高強度」「高ボリューム」「短い休息期間」の3つを組み合わせることです。

なぜなら、筋肉に大きな「代謝的ストレス」を与えることが、ホルモン反応を引き出す鍵となるからです。
強度が低すぎたり、休息が長すぎたりすると、このストレスが弱まってしまいます。
さらに、この組み合わせで筋トレを行うと、テストステロン濃度は運動終了後48時間も高いまま維持されたと報告されています。
したがって、筋トレでテストステロンブーストを狙うなら、ただ重いものを持つだけでは不十分です。
「高強度・高容量・短インターバル」の3要素を意識したプロトコルを組むことが、科学的に正しい戦略です。
具体的な重量や休憩時間については記事の後半でお答えしています。
「休息は短く、強度は中〜高がテストステロンブーストの鍵ですよ」

なぜ「大きな筋肉(下半身や背中)」を鍛えるべきなのか?

筋トレでテストステロン反応を引き出すには、「動員する筋肉量」が決定的に重要です。 腕や肩のような小さな筋肉を鍛えるだけでは、たとえ激しく行ってもテストステロンはほとんど上昇しません。
テストステロンの上昇は、運動によって動員された筋肉の総量に比例します。
より多くの筋繊維が活動することが、強力なホルモン反応の引き金となるのです。
つまり、効率的にテストステロンブーストを得たいのであれば、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスといった「大きな筋肉(下半身、背中、胸)」を使う多関節運動(コンパウンド種目)をメニューの中心に据える必要があります。
マシンより「フリーウェイト」がテストステロン反応を強める理由
同じ下半身運動でも、レッグプレスのようなマシン運動より、スクワットのような「フリーウェイト」運動の方が、テストステロンをより強力に増加させます。
理由は、フリーウェイトがマシンと違って軌道が固定されていないためです。 ターゲットの筋肉だけでなく、バランスを取るための「体幹」や「安定筋」といった、より広範な筋肉を動員する必要があります。

ある研究が、フリーウェイトのスクワットとマシンのレッグプレスで運動直後のホルモン反応を比較しました。
その結果、どちらもテストステロンは増加しましたが、フリーウェイトのスクワットの方が、マシンよりも有意に高いテストステロンの増加を引き起こしました。
これは、フリーウェイトがより多くの総筋肉量を動員し、神経系に対してより大きな負荷をかけた結果です。
安全性が確保できる範囲でマシン運動よりもフリーウェイトを優先することが、テストステロン反応を高める上で合理的な選択と言えます。
スクワットは体幹も総動員。反応量が段違いっす!」

【実践】論文から導く
「40代からのテストステロン戦略」2ステップ
ステップ1:まず「有酸素運動」で脂肪を減らし、基礎値を上げる土台を作る
40代以降で「活力が落ちた」「お腹周りが気になる」という方は、まず有酸素運動から始めるのがおすすめです。
なぜなら、それが「基礎テストステロン値」を高めるための、一番確実な「土台作り」になるからです。
論文によると、肥満傾向の男性が有酸素運動を続けると、基礎テストステロン値がはっきりと増加することが、多くの研究で確認されています。
この一番の理由は、「脂肪が減る」ことにあります。

実は、脂肪組織(特にお腹の脂肪)は、男性ホルモン(テストステロン)を女性ホルモンに変えてしまう働き(アロマ化)を持っています。
運動して脂肪が減ると、この厄介な働きを抑えることができます。
結果として、テストステロンがムダに減らなくなり、あなたの「基礎値」が改善していくのです。
ですから、40代以降で体脂肪が気になる方は、まず有酸素運動で脂肪を減らすこと。これが、テストステロンを高めるための最も合理的な第一歩です。
ステップ2:高強度・短インターバルの「下半身筋トレ」で急性ブーストを狙う

土台ができたら、次は筋トレでテストステロンを「急性ブースト」させる戦略です。
鍵は「下半身」を中心とした「高強度・高容量・短インターバル」のトレーニングです。
この論文は、テストステロンの急性ブースト(運動直後の一時的な上昇)を最大化する条件を明確に示してくれています。
それは「中程度の強度」「より高い運動量(ボリューム)」「セット間の短い休息期間」の3つの組み合わせです。
中強度で高ボリュームな運動とは、1RMの75%の負荷で10回4セット、つまり、ギリギリで約10回反復できる負荷で10回4セット行うことを紹介しています。
この戦略が有効な理由は、以下の科学的根拠に基づいています。
- 動員する筋肉量(下半身)が重要
テストステロン上昇には、腕のような小さい筋肉だけでなく、下半身などの大きな筋肉を動員することが必須である。 - 強度・量・休息(高強度・高容量・短インターバル)
中強度・高ボリューム・短休息(90秒)の組み合わせが、運動後のテストステロンを最も有意に増加させた。 - フリーウェイト(スクワット)が優位
マシン(例:レッグプレス)よりもフリーウェイト(例:スクワット)の方が、より大きなテストステロン反応を引き起こす。
したがって、テストステロンの急性ブーストを狙うには、
スクワットのような下半身のフリーウェイト種目を
高強度・高ボリューム(ギリギリ10回反復できる重量で10回×4セット)
短インターバル(セット間の休憩は90秒)
で行うことが最も効果的な実践方法です。
重要なのは「体質改善(基礎値UP)」である

ここまでの話を整理すると、40代以降の私たちが本当に重視すべきは、運動直後の一時的なテストステロン上昇(急性ブースト)よりも、運動を続けて「基礎テストステロン値」自体を高める「体質改善」です。
「運動直後のテストステロンの一時的な上昇が、本当に筋肥大に効くのか?」という点は、実は科学的にはっきりと証明されていません。
ですから、大切なのは一時的な効果に一喜一憂することではありません。
運動を続けて脂肪を減らし、運動不足を解消することで、「基礎テストステロン値」そのものを改善することこそが、最も重要な戦略なのです。
この情報の信頼性について(本研究の概要)
2020年にテキサス大学医学部の研究者らによって発表されたレビュー論文
この記事で提示した戦略は、極めて信頼性の高い科学的根拠に基づいています。
この論文は、テキサス大学医学部 内分泌・代謝部門の研究者らによって執筆され、『Journal of Functional Morphology and Kinesiology』という専門誌に掲載されたものです。
「運動とテストステロン」に関する既存の膨大な文献を分析し、なぜ研究ごとに結果が異なるのか(バラつき)を解明した、質の高い論文です。
運動の種類、強度、年齢、肥満度など、様々な要因がテストステロンに与える影響を分析
本論文は、テストステロン反応の「バラつき」を生む要因を、以下のように分類・分析しています。
(a) 運動の種類(例:持久力運動 vs レジスタンス運動)
(b) トレーニング強度や休息期間の長さ
(c) 研究対象者の特性(例:若年 vs 高齢者、痩せ型 vs 肥満者)
(d) テストステロンの測定タイミング(例:運動直後 vs 数時間後)
したがって、この記事で紹介した「40代からの戦略」は単なる憶測ではありません。 これらの複雑な要因を整理・分析した科学的結論に基づいています。
「年齢や脂肪量も影響大っす。戦略は人それぞれ!」

まとめ:40代以降の男性は
「運動でテストステロンが上がる」最大のチャンスを持っている
40代以降で「活力が落ちた」「体型が変わった」と感じている人こそ、運動でテストステロンを改善できる最大のチャンスを持っています。
この論文の結論は明確です。
すでに健康で、運動習慣がしっかりある方
素晴らしいことですが、もしかすると今以上に運動を増やしても、「基礎テストステロン値」は上がりにくいかもしれません。
過度な持久力運動は、逆に基礎値を下げる可能性もあるようです。
これまで運動不足だった方・肥満傾向が気になる方
運動を始めることで、基礎テストステロン値が増加しやすいことが示されました。
活力の低下を嘆く必要はありません。
科学的根拠に基づいて運動を始めることが、あなたの基礎テストステロン値を改善する最も確実な方法です。
まずは有酸素運動で脂肪を減らし、体質改善の土台を築くことから始めましょう。
ここで「自分は運動しても上がらないタイプかも…」とがっかりした方に、筆者の経験から少しお話をさせてください。
私自身も、男性更年期症状を良くしたくて運動を続けてきました。
なんとなく、「テストステロンが上がるはず。」と思い、推奨される強度の筋トレを3年間続けましたが、実はテストステロン値自体は上がらなかったんです。
でも、運動の効果は、決してそれだけではありませんでした。
運動をすると、ストレスを感じていた気持ちがすーっと軽くなったり、夜ぐっすり眠れるようになったり。生活習慣全体が良い方向に向かい、頭がスッキリするのも感じました。
そうしたたくさんの良い効果が巡り巡って、心と体のバランスを整え、辛かった症状の改善に繋がっていることは、今、はっきりと実感しています。
ですから、もし「基礎値が上がらないタイプ」に当てはまったとしても、どうか運動を辞めないでほしいのです。
テストステロン値という一つの数字だけにこだわらず、運動は必ずあなたの心身全体に素晴らしい影響を与えてくれる、ということをぜひ知っておいてほしいなと思います。
参考リンク
▼この記事の参考論文はコチラ
Riachy R, McKinney K, Tuvdendorj DR. Various Factors May Modulate the Effect of Exercise on Testosterone Levels in Men. J Funct Morphol Kinesiol. 2020 Nov 7;5(4):81. doi: 10.3390/jfmk5040081. PMID: 33467296; PMCID: PMC7739287.
McCaulley GO, McBride JM, Cormie P, Hudson MB, Nuzzo JL, Quindry JC, Travis Triplett N. Acute hormonal and neuromuscular responses to hypertrophy, strength and power type resistance exercise. Eur J Appl Physiol. 2009 Mar;105(5):695-704. doi: 10.1007/s00421-008-0951-z. Epub 2008 Dec 9. PMID: 19066934.

